Sony Global Solutions Inc.
ソニーグローバルソリューションズ株式会社
総合コンサルティングファームにてGlobalSAPの導入を経験し、2022年にソニーグローバルソリューションズへ転職。SAPSolution部AccountingPlatform課の統括課長として、ソニーグループ全体の経理業務を最適化する会計プラットフォームの構築とその展開Projectをリード。
私が会計分野に興味を持ったのは、経営に関わる仕事がしたいと思ったことがきっかけでした。公認会計士や税理士は、経営の健康状態を診断する医師のような役割であると感じ、その道を志しました。
大学ではダブルスクールで公認会計士の勉強をしていましたが、残念ながら夢かなわず、そんな時にSAPの存在を知りました。経営に関わるシステムであり、会計分野の知識を活かすことができる──もともと理系出身でITも好きだったので、就職活動ではSAPに関わる仕事を探していきました。
そうして入社したのは、SAPの導入支援を行う会社。面接で社長と直接話す機会があり、その方がSAPの日本進出時から携わっていた点に惹かれました。SAPが日本に上陸するまでの苦労や、その苦労を乗り越えるだけの意義や導入した当時の反響について聞く中で、ここで学びたいと感じたことが決め手でした。
入社後は、会計チームにてSAP保守窓口を担当。少人数の会社であったことから裁量も大きく、クライアントである経理担当者と隣り合わせで仕事をしながら、要件をヒアリングし、システムの設計から開発、実装まで一貫して行っていきました。
また、保守と並行しながら海外の小規模販売会社へSAPの展開を実施したり、SAP社の営業に同行して提案活動をサポートしたりといった経験もできました。
ただ、3年間勤務したころ、クライアントの保守を続けて安定稼働をする中で物足りなさを感じるようになりました。もっと効果的なSAPの活用方法を模索したい、もっと大規模なクライアントにも展開してみたいと考え、コンサルティングファームへと転職しました。
コンサルティングファームに入社後は、フィリピンの開発センターでSAPの開発体制を整えることに。社内のルールを整備しながら、開発の標準化をしていきました。開発の知見に関してはこれまで経験を積んできたものでしたが、グローバルな環境で働くことに大きな刺激を受けましたね。
標準化が一区切りついた後は、アメリカのプロジェクトに参画。会計の知識を活かしつつ、さまざまな案件に入っていきました。とくに印象深かったのは、要件定義から開発まで一貫して担当した連結会計の領域。これまで培った自分のノウハウを全て出し切り、新しいテクノロジーも活用して成果を出したことで、クライアントにも高評価をいただくことができました。
国籍含め、多様性にあふれるチームの中で働くことで、より自由な発想で働くことの大切さを学び、自分自身も大胆な提案ができるようになったと感じています。
再び転職を考えるようになったのは、導入後のフォローアップやさらなる改善に携わりたいと考えたからです。クライアントの方々と親しくなり、飲みに行く機会が多かったのですが、導入後に感じている新たな課題を聞きながら、どうアプローチをしていくかと話し合っている時間が私にとっては一番楽しいものでした。最初の会社でも、導入後の保守や改善を行っていた経験があり、導入して終わりになってしまうことに寂しさがあったんです。
できることなら、ブラッシュアップを重ねながら、会社の経営にまで貢献していきたい。そう考え、コンサル側ではなく事業会社側に所属することを決めました。ソニーグループの情報システムを一手に担うSGSは、SAPスキルを活かすことができるグローバル企業であり、さまざまな業種の会社が属していることから、幅広いIT戦略を取れる点に魅力を感じました。
さらに惹かれたのは、人と会社の特性です。現在の上司である池上さんとは、面接時に導入後のスタンスについて熱く語り合いました。「導入して終わりではなく、どう使っていくか、どう育てていくかが重要」「なおかつ、それをグローバルな視点での取り組んでいく必要がある」といった話をする中で、ぜひ一緒に働きたいと思うようになりました。
また、SGSは国や地域、会社や事業の枠を越えた形でソニーのITエンジニアが所属しているGISC(Global Information Systems & Communications)というグローバル組織の一員であり、対等な関係性の中、一体となってソニーグループに価値を提供していることも教えていただきました。
私自身、ワンチームという考え方を大切にしており、上下関係なく全員が同じレイヤーで力を合わせてこそいいシステムができるという考えを持っていたため、迷いなく入社を決めました。
入社後は SAP Solution部 Accounting Platform課に所属し、ソニーグループ全体の経理業務を最適化するための会計プラットフォームの構築・展開プロジェクトを担当しています。
直近で取り組んでいるのは、半導体製造拠点へのSAP導入。会計プラットフォームのグローバル統一プロジェクトとしては、初めての本格的な製造拠点への導入となっています。ソニーグループの中でも大きな固定資産を保有しているため、今後の国内製造拠点への展開も見据えた重要なプロジェクトです。プロジェクトメンバーの半数は海外のメンバーであるため、SAPや経理の知見だけでなく、海外経験も活かしながら業務にあたっています。
SGSに入社して感じる特徴は、やはり全員が同じグループの一員であること。コンサルティングファームでは、クライアントと自社の立場の違いがある中で提案や予算獲得、評価を得る必要がありました。
しかし、SGSではみんなが「ソニー」という同じ組織の一員。すべてを自分事として捉えて取り組むメンバーが多く、予算や期間の制約を飛び越えて、最適な選択肢を議論して掘り下げていくことができます。
国内だけに留まらず、海外のメンバーも「ソニーグループとして何をすべきか」を一緒に考え、主体的にプロジェクトに関わっています。インドのメンバーと話す機会が多いのですが、新しい技術が出てくると「この技術は絶対使うべきだから、テストしてみよう」「 このプロジェクトでなんとか使えないか」など積極的な提案があります。
また、ユーザーである経理メンバーも前向きで、変化に強い人が多いです。新しい提案に対して、否定から始めるのではなく「将来的にどんなメリットがあるのか」という姿勢で臨んでくれます。これまでのキャリアの中で、経理の人々にはどちらかというと保守的なイメージを持っていたので、私にとっては意外なギャップでした。ソニーの歴史の中で、多くの変化を経験してきたことが関係しているのかもしれません。
こうした環境だからこそ、新たな施策や先行事例のないチャレンジについても提案がしやすいです。同じ目標に向かってグローバル一体となって協力し合える環境に、やりがいを感じています。
2022年入社後、リーダークラス、マネジメント職へと昇格し、現在は日本の組織で10名弱のチームをまとめています。
メンバーのほとんどが4年目以下の若手社員で、SAPや経理の知識がない状態からのスタート。海外のメンバーに知見がある中で、日本のメンバーがどうあるべきか、役割を定義することから始めています。上司とも話し合いながら、将来的に何をしてもらいたいのか。そのために今何を学び、どのようなスキルセットで成長してもらう必要があるのかを考え、チームに落とし込んでいます。
管理職になってから、自身の意識にも変化が起きました。目の前のプロジェクトのことだけでなく、その先を考えるようになったんです。
プロジェクトの成功させるためのタスクは大事ですが、調整や管理の仕事だけではなく、海外メンバーとの中身の議論に入ってもらう。その中で自分の仕事のスタイルを確立してもらう。土台があるからこそ飛躍的な成長につながる。一人ひとりと向き合いながら、改善が必要な部分にはしっかりとフィードバックしつつ、長所を伸ばしていくようにしています。
チームとしての今後の展望は、グローバルなIT組織の中で日本の存在感を示すこと。海外の技術力が上がっていても「日本の〇〇さんはこれが得意だから頼もう」「日本のチームと一緒にモノづくりをしていきたい」と言ってもらえるよう、価値を発揮していきたいですね。
個人の展望としては、まず一人前の課長になること。上司である池上さんのDNAを引き継ぎ、グローバルのメンバーと協働していくことで、将来的に後任となれるような成長をめざします。現状は、日本にいながら海外をコントロールすることに課題を感じているため、海外のマネジメント層とのコミュニケーションを増やしながら、自分の存在感を高めていきたいです。
※記載内容は2024年6月時点のものです