Sony Global Solutions Inc.
ソニーグローバルソリューションズ株式会社
学生時代は理工学部で情報工学を学んだのち、新卒でソニーグローバルソリューションズへ入社。新規事業の事業開発とリードエンジニアとして製品開発をリードなどを経て、現在はテクニカルソリューションアーキテクトとしてソニーグループグローバルでの生成AIの活用、民主化を推進中。
私はソニーグローバルソリューションズ(以下、SGS)とソニーグループ株式会社(以下、SGC)の業務を兼務し、グローバルでの生成AI活用の推進に取り組んでいます。
これまでに、独自の生成AI環境「Enterprise LLM」を構築し、国内に加えて米国や欧州でも展開をスタートしました。現時点で約2万7千人が利用しており、実ビジネスへの適用を推進するとともに、160以上のPoCも実施しています。
ソニーグループには技術を好む方や高い技術力を持つ方が多く、私たちが想像もしていなかったような場面で活用されるなど、大きな反響を呼んでいます。数えきれないほどの生成AIの活用案が相談され、それに対する技術的な提案、サポートを行っているところです。
当グループにはクリエイティブな事業もありますが、リスクを十分に理解したうえで、コンテンツそのものではなく、クリエイティビティのサポート部分にAIを活用する方針のもと、日々ビジネスユーザーの方々と検討を重ねています。
また、生成AIは技術の進展が非常に早く、話していた内容がわずか1カ月後に陳腐化してしまうことも少なくありません。そのため、新しい技術や情報をすばやく取り入れる必要がありますが、そうした変化の速さがこの分野のおもしろさでもあると感じています。
現在、チームメンバーは約30名です。新しい情報へのキャッチアップが早く、興味や関心も強い傾向があることから、とくに技術領域では若手が中心となっています。
一方で、「AWS re:Invent」「AWS Summit Japan」「Google Cloud Next Tokyo」といったクラウドベンダーが開催する中でも最大級の規模のクラウドカンファレンスやテクノロジーイベントでの登壇も積極的に行なってきました。登壇の機会を得られていることは非常に幸運なことだと思っています。技術者以外の方の参加も多いため、ビジネスサイドの方々とコミュニケーションする際は、相手が理解しやすい表現を心がけ、実際のビジネスでどのように活用できるかもお伝えするよう意識しています。
学生時代は理工学部で情報工学を専攻し、就職活動では今後の成長産業を志望したいという思いから、IT業界とエネルギー業界を中心に見ていました。
その中でも、SGSに興味を持ったのは、ITでソニーグループを支えているという点はもちろん、ゲームや音楽、映画など幅広い事業を展開するソニーグループであることに魅力を感じたからです。選考では、面接官が非常にフレンドリーで温かい雰囲気があり、「こんな環境で働いてみたい」と思えたことが入社の決め手になりました。
私が入社して最初に担当したのは、経営管理のためのシステム保守・エンハンス対応です。周囲の先輩たちは言われなくとも自ら考え、技術提案を行い、実行に移していました。私はプログラミングは未経験でしたが、先輩たちの姿を見習いながら、自ら学び、積極的に提案することを意識して取り組んでいました。まだまだ未熟でありながら、新しい知識を習得していくのはおもしろく、入社1年目にしてエンジニアとしての手応えも感じました。
2年目にはモバイルの導入や開発を担う部署に配属され、社内でのモバイル活用施策の立案やモバイルアプリケーションの企画・開発を担当しています。最初の2年のOJT期間を通じてIT技術の基礎を身につけ、自信を掴みました。
3年目にセールス&マーケティング領域のシステム保守・エンハンス対応を担当し、その翌年からはソニーコンピュータサイエンス研究所で新規事業の開発と、その事業のためのシステム開発に携わりました。
当時は契約書の電子契約が始まった時期。クラウド上で契約書を一元管理するシステムの構築に取り組みました。企画から実装まで一貫して経験できたことは、現在のシステム開発にも大いに役立っています。開発したプロダクトの飛び込み営業にもチャレンジしました。
これまでと異なる分野の仕事を経験する中で学んだのは、先を見据えることの大切さ。未来から逆算し、今すべきことを考え、取捨選択することの重要性を学びました。
さらに、チームとして働くうえではゴールの共通認識が鍵になります。現在もその点には十分に配慮しています。
その後、働き方改革関連のシステム企画・開発・運用をリードしました。社員の働き方を分析し、理想的な働き方を定義したうえで、それに近づけることがミッションです。付帯業務を削減してコア業務の質を向上させ、機械的に処理できる部分は機械に任せ、クリエイティブな業務にかける時間を増やすためのツール提供をめざし、システムを一から設計・開発しました。
働き方改革は効果が見えづらいため、成果をどう見せてどう測定するかに苦労しましたが、その努力が実り、多くの社員に利用されるシステムへと成長し、現在も稼働しています。
入社以来、約12年にわたってさまざまなプロジェクトに携わってきました。新規事業開発をエグジットまで進めた経験や、働き方改革のシステムの一環としてIPA(インテリジェンス パーソナル アシスタント)というサービスを立ち上げ、デイリーアクティブユーザーが3〜4万人に達するシステムへと成長させた実績もありますが、現在取り組んでいる生成AIプロジェクトにとくに大きな手ごたえを感じています。
このような大規模かつ重要なプロジェクトの推進に貢献できていることはとても誇りですね。この生成AIプロジェクトを通じて、横のつながりが活性化し、グループシナジーを生み出すきっかけとなることを期待しています。
ただし、ここに至るまでには多くの苦労がありました。たとえば、ソニーには6つの事業セグメントがありますが、それぞれ特色があり、グループ全体で強いガバナンスをしかず、連邦制のガバナンスをかけています。各ビジネスユニットやリージョンが独自に事業方針を考えている中で、共通のソリューションや活動を展開するのは容易ではありませんでした。
幸いなことに、生成AIは注目度の高い技術です。多くの人が「何かできるのでは」という期待を抱いていたことが追い風になりました。生成AIの活用事例を積極的に示すことが多くのビジネスユーザーの共感を呼び、導入の拡大につながったと感じています。
また、私はこれまで一貫してエンジニアとしてキャリアを重ね、新しいことに挑戦して知識を得ることにやりがいを感じてきました。挑戦を苦しいと感じたことは一度もなく、むしろ、いまでも新しい技術に出会うとワクワクします。実際にいま、自分で生成AI技術を試し、何ができるのかを確かめたうえで、グループのみなさんに共有していくことに大きな喜びを感じています。
現在、入社して13年目になりますが、ソニーグループの「出る杭は打たれない」文化には非常に共感しています。かつての私もそうでしたが、若手が意見を述べたとしても叩かれず、しっかりと意見として受け入れてもらえる風土があるのは魅力的です。
また、ソニーグループにはさまざまな技術領域のスペシャリストが在籍しており、それぞれ異なる知識やバックグラウンド、考え方、文化を持っています。社内での会話から多くの新しい発見が得られ、学びの機会が豊富です。成長意欲を満たせる環境にとても満足しています。さらに、グローバルな体制を持つことは、ソニーグループの大きな強みだと思っています。
今後、生成AIはさまざまなツールに組み込まれていくことになるでしょう。そうなれば、通常業務の中でユーザーが生成AIを正しく理解し、使いこなせる環境を整えることが不可欠です。
どんなに優れたツールがあっても、それを適切に扱えなければ意味がありません。リテラシーを高め、ビジネスの最前線で生成AIを活用できる人材を育成することが、今後の活動の軸になると考えています。
中長期的な目標としては、技術寄りのポジションでプロフェッショナルとしての地位を確立することをめざしています。マネジメント業務も担当していますが、エンジニアとしての軸は変わりません。複数の領域で業界トップレベルと自負できる知識を身につけ、それを社内外に還元できる存在になりたいと思っています。
最後に、仕事をするうえで私が拠り所としていることについてお伝えします。私は「楽しく仕事をしたい」という想いがあります。もちろん、仕事には苦しい場面もあります。しかし私は、これまで新しいことを立ち上げる際は、覚悟を決めて挑戦してきました。後輩たちにも、「仕事は泣きながらやるものではなく、楽しんでするものだ」と伝えてきました。
これまで多数のプロジェクトに関わってきましたが、私はどれも楽しんで取り組んできました。チャンスは待っているだけでは訪れません。これまで多くの立ち上げフェーズに参加できたのも、自ら企画を考え、積極的に発信してきた結果だと思っています。
実際、当社で活躍しているのは、アグレッシブな姿勢を持つ方々。指示を待つのではなく、自ら率先して新しいことに挑戦できる方と一緒に働けることを楽しみにしています。
※記載内容は2024年11月時点のものです